ニシキオオツバメガ

世の中には、不思議な生き物がいるものです。今回ご紹介したいのは、世界一美しいといわれる蛾・ニシキオオツバメガについてです。

余談にはなりますが、モルフォチョウという世界一美しい蝶呼ばれている蝶もいます。やはり、世界一というのは多くの人から注目を浴びるものです。このニシキオオツバメガも例外ではなく、オークションなどでも標本の取引がよく行われています。

ニシキオオツバメガの不思議な生態

蝶と間違えられた蛾

ニシキオオツバメガは、マダガスカル島に生息する蛾の仲間です。このマダガスカル島といえば、特殊な生き物が多いということでは有名な島ですね。

このニシキオオツバマガもそんなマダガスカル島だけに生息している特殊な蛾なのです。おまけに、羽根が美しかったり昼間飛び回っていることなどから、発見された当初は蝶の仲間として分類されてました。

ちなみに蛾といえば、あまりきれいな蛾というのはいませんね。ところがこのニシキオオツバメガの場合、ぱっと見蝶と間違えるくらいに色鮮やかな羽根を持っています。誰も蛾の一種とは思わないでしょうね。

おまけにただ単に美しいというだけでなく、羽根を広げると10センチ近くもあるのでやはり蝶と間違えてしまうかもしれませんね。ちなみに現在では、チョウ目ツバメガ科の蛾の仲間、蛾の一種として分類されています。

夜行性の蛾が多い中、昼行性の蛾

蝶と蛾の違いといえば、蛾は夜行性で蝶は昼行性という点ではないでしょうか。もちろん例外というのも存在します。このニシキオオツバメガがそうで、昼行性なので昼間活動するという特殊な習性を持っています。つまりマダガスカル島では、このニシキオオツバメガが昼間ビュンビュン飛んでいるということになります。

確かに、見立たない色をした蛾であれば夜行性でもおかしくはありません。ところが、鮮やかな色彩をしていれば、昼活動したほうが見栄えもよいに違いありません。ところで見栄えがよいという意味では、ニシキオオツバマガに限らず人間でも同じようなことがいえるでしょうね。

美しい綺麗な女性や男性、例えば芸能人なんかは昼間や大勢の人の前に出ると見栄えもよく目立ちます。

世界一美しい蛾といわれる色鮮やかな羽根

世界一美しい蛾ニシキオオツバメガは、世界一美しい蝶モルフォチョウとよく比べられます。

ところがニシキオオツバメガの羽根が美しく見えるのは、太陽が反射して色鮮やかに見えるのというのではないのです。要するにオレンジやグリーンなどの色素自体が、羽根に着色されているのではないというのです。

それはちょうど、CDの記録面やシャボン玉が色鮮やかな虹色に見えるのと同様の原理です。ニシキオオツバメガの羽根の表面も凹凸になっているので、光が屈折して色鮮やかに見えるのというのです。

もちろんニシキオオツバメガの羽根が色鮮やかに見えるのは、CDやシャボン玉よりもさらに複雑な仕組みです。こうした美しく見える羽根の複雑な仕組みにもびっくり仰天です。

ここが危険!美しいものには毒がある

毒を持つ蛾

ニシキオオツバメガは、見た目が美しいので捕まえようとする人が多いようですね。よく美しいものにはトゲがあるといいますが、このニシキオオツバメガの場合にはトゲどころか毒を持っているので極めて危険です。

こうした見た目が美しい生き物というのは、オオツバメガに限らすその他の生き物においても往々にしてよくあるものです。

とりわけ弱肉強食の生き物の世界では、見た目が色鮮やだとよく目立ってしまうので身の危険性も高くなるに違いありません。そうした身の危険を補うために、毒を持っているということも考えられます。例えばキレイな女性が、暴漢から身を守るために防犯ベルやスタンガンを持ち歩くのと同様です。

毒を持つ虫といえば、こちらも危険です。

興味をそそる毒を持つようになった経緯

このニシキオオツバメガは、毒を持っているというのは今日では多くの人が知っています。従って、コレクターと称する人においては、誰もニシキオオツバメガを素手で捕まえようとする人はいません。

ところで、このニシキオオツバメガが毒を持つようになった経緯がおもしろいのです。

どのような経緯なのかといえば、幼虫の時には有毒な植物を食べて育つようになっています。その上、成虫になってもその植物から得た毒を体内にいつまでも保有しているというのです。羽根が鮮やかに見える原因も不思議ですが、毒を持つようになった経緯というのも不思議そのものです。

まとめ

世の中には、人知を超えた不思議な生き物というものがいることを、オオツバメガを通して改めて知ることができたのではないでしょうか。これを機会に、ぜひとも蛾や蝶について興味を持たれてはいかがでしょうか。